音楽史トライアル(近代)

ポスト・ヴァーグナー

19世紀末のドイツのオペラ界は、リヒャルト・ヴァーグナーの絶大な影響下にあった。とくに、彼の4部作の楽劇である《ニーベルングの指環》を模倣するかのように、アウグスト・ブンゲルト(1845/46~1915)の《オデュッセイア》(1896~1903、4部作)、指揮者としても有名なの《オレステイア》(1902、3部作)のような連作もののオペラが次々と作られた。そのほかにも、ヴァーグナーと親交が深かったり、彼に心酔したりする作曲家のなかにはオペラを手がける者が多く、ドイツ・リートで知られるフーゴー・ヴォルフ(1860~1903)は、スペインのファリャのバレエ《三角帽子》と題材を同じくするオペラを作曲した。また、リヒャルト・シュトラウスの最初のオペラは、吟遊詩人である主人公が、夫ある身の王女フライヒルドを入水自殺から助けたことをきっかけにして、その国の民衆を救済することになるという、ヴァーグナーのオペラを彷彿とさせるストーリー展開になっている。