音楽史トライアル(現代)

西村朗

西村朗(1953-)はヘテロフォニーを用いて、数多くの作品を書いている。たとえば、エリザベート国際音楽コンクール作曲部門で大賞を得たのは、《のためのヘテロフォニー》(1975)、第36回尾高賞を受賞したのは《2台ピアノとのためのヘテロフォニー》(1987)である。もちろん、西村はタイトルに「ヘテロフォニー」という言葉がつく作品においてのみヘテロフォニーを使っているわけではない。彼のオーケストラ四部作と呼ばれる《太陽の臍》(1989)、《チェロ協奏曲》(1990)、《永遠なる混沌の光の中で》(1990)、(1991)においても、ヘテロフォニーは探求されている。