▲ 図:学習フーガの形式区分
学習フーガについて
フーガは前に述べたように決まった形が無いので「形式」とは言えないが、学習フーガは決まった形があるため「形式」と言える。
学習フーガの形式を図にすると、上記の図のようになる。
形式の各部について、簡単に解説する。()内は『フーガ書法』での呼称である。
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第1提示部 (主要提示部)
提示部とは、主題(主唱と答唱)を各声部で順次導入する部分である。
第1提示部は、【主調の主唱と答唱】 が提示される。
【主唱 → 答唱 → 主唱 → 答唱】 という形で、4声それぞれに主題を導入する。
第1提示部冒頭の主唱以外は対唱を伴う。
第1喜遊部 (第1間奏)
喜遊部とは、ソナタ形式での用語における「推移」に相当し、各提示部間の移行部分である。
第1喜遊部は【第1提示部から第2提示部】への移行部分である。
第2提示部
第2提示部は【平行調の主唱と答唱】 が提示される。
第2喜遊部 (第2間奏)
第2喜遊部は【第2提示部から第3提示部】への移行部分である。
第3提示部
第3提示部は【下属調の主唱とその平行調による主唱】が提示される。
第3喜遊部 (第3間奏)
第3喜遊部は【第3提示部から追迫部】への移行部分である。
第3喜遊部の最後で属音度機能(属音による保続低音)を用い、音楽的な頂点を形成する。
第1追迫部(主要追拍)
追迫の手法を用いた 【第1提示部の再現】 である。
第1提示部と同様、主調で 【主唱 → 答唱 → 主唱 → 答唱】 と導入される。
対唱追迫区 (対唱追拍)
対唱追迫区は 【第1追迫部から第2追迫部】 への移行部分である。
素材として、対唱の冒頭部分を活用する。
第2追迫部 (平行調追拍)
追迫の手法を用いた 【第2提示部の再現】 である。
第2提示部と同様、平行調で 【主唱 → 答唱】 と導入される。
自由追迫区 (平行調追拍に含む)
自由追迫区は 【第2追迫部から第3追迫部】 への移行部分である。
第3追迫部 (真正追拍)
主調で 【主唱 → 答唱】 の追迫を行う。
第3喜遊部と同様、第3追迫部の最後で属音度機能(属音による保続低音)を用い、音楽的な頂点を形成する。
結尾部 (コーダ)
主音度機能(主音による保続低音)を用いる。
以上、大まかに形式と用語について解説した。
詳細や範例は、1ページに挙げた文献を参照されたい。