総合音楽講座 > 第7回 バッハ インベンション第2番 > P2

では10小節目まで、両方のパートをあわせてみます。

楽譜を切り替える

上声部が歌い始めた旋律を、下声部が少し遅れて追いかけて行くようにして曲が進められています。この方法がカノンです。

「同じ旋律をずらして始めているだけなので、簡単…」そう思われるかもしれませんが、そんなことはないのです。試しに自分で何か旋律を作ってカノンしてみるとよくわかります。

好きな曲のメロディーをカノンのようにして弾いてみてもいいかもしれません。

さて結果は…どこか変な感じがしませんか?

あらかじめカノンすることを考慮に入れて旋律を作っていないと、きれいに響かないのです。

カノンをする場合、先に歌い始めるパートを先行句(せんこうく)、後からついていくパートを追行句(ついこうく)と呼びます。

カノンごとに、先行句と追行句の時間的な距離、追行句の様相にそれぞれ特徴があります。

わかりやすくいうと、

○追行句はいつから追いかけ始めるのか

○どんな姿形で追いかけていくのか(例えば↓)

・先行句と全く同じ形でわかりやすいもの(この曲の追行句のようになっている)なのか

・一目ではわからないように先行句の旋律が変相している追行句なのかということです。

この曲は「2小節遅れの8度のカノン」です。追行句が入ってくるのが3小節目なので、時間的な距離が2小節。

また、追行句は先行句と同じ形、違いは1オクターヴ下の音ということだけなので、8度のカノンといいます。