ブラームスは、ロマン派の中期を代表する大作曲家です。バッハ&ベートーヴェン&ブラームスを“三大B”と括ることもあります。オペラの分野の大巨匠=ワーグナー(Richard Wagner / 1813-1883)と共に、ロマン派中期のドイツ音楽を代表する存在です。ブラームスが生きた時代の日本は、正に幕末から明治維新を経験する激動期にあたります。
坂本竜馬や西郷隆盛や勝海舟が活躍した時代です。ヨーロッパでは、主要国が工業化による経済の発展と国力の増強を競い合い、特に海軍力を基盤とした軍事的な緊張関係が増大していきました。そこに、新大陸の新興国であったアメリカも割って入るようになり、所謂“帝国主義の時代”、“列強の時代”になっていったのです。日本は、その中で奇跡的に植民地化されずに生き残っていきます。(これは実に凄いことなのですよ!)
さて、ブラームスは、ベートーヴェンの偉大な作品に並んでも恥ずかしくない交響曲を書こうと決意して、自己に厳しく研鑽を積みました。最初の発想から二十年以上も時間をかけて書き上げた最初の交響曲、[交響曲第1番ハ短調 作品68]を聴いてみましょう。
作曲年代:1855年頃〜1876年
楽器編成:
フルート2,オーボエ2、クラリネット2,ファゴット2,コントラファゴット、
ホルン4,トランペット2,トロンボーン3,ティンパニ、
弦5部(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)
演奏時間:(楽譜通りの繰り返しを遂行した演奏の場合)
Ⅰ楽章=約13分 Ⅱ楽章=約9分 Ⅲ楽章=約5分 Ⅳ楽章=約16,5分
計=約44分
【譜例12】YouTubeで視聴
堂々たる交響曲の誕生です。楽器編成も今日的な二管編成に到達しています。
低音を増強するためにコントラファゴットが付加されています。【譜例12】は終楽章(Ⅳ楽章)の最後の終結部の一部分です。モーツァルトの頃の交響曲のスコアに比べると、随分重厚になっていることが判ります。