校長の研究室 
> 作曲理論研究1「フーガの書法」

▲ ショパンの主題による追走曲 
作曲 清水昭夫(2013年12月)

清水 昭夫

洗足オンラインスクール 校長

作曲コース准教授、アカデミック・プロデューサー

清水昭夫

はじめに

私は音楽教育の都合上、模範的なフーガを書きたいと日頃より意識していた。

本学作曲コースは2017年度に大幅なカリキュラム改革を行い、19世紀頃までの伝統的な作曲技法と、20世紀以降の作曲技法の両方を学修できるカリキュラムを整備、さらに作曲技法と作曲理論のふたつの個人レッスン(50分+50分)を履修できるようにした。作曲家にとって作曲理論が重要だと考えるからである。
私は日頃の創作活動で 「12音技法」 など20世紀の作曲技法を中心に研究しているが、伝統的な技法においても学生に分かりやすい模範を書いておくことが何よりの教材となりうると考えており、フーガの作曲もその一環であった。

時は2013年、ショパン「エチュード op.25-7」の冒頭を使用してフーガが書けるのではないかと考え、対旋律を書くなど実験した。有名な作品ゆえ、すでにフーガを書いている先例があるのではないかと思ったが先例が見つからなかったので、これは完成させてみようと思ったのである。作品の完成後、音源と映像の制作を行い Youtube にアップした(2014年1月6日)。後に幸運にも初演される機会を得た(2016年2月8日)。

オンラインスクール開校10周年という節目(2007年4月2日開校)、そして私が作曲コースのアカデミックプロデューサーを拝命したこの機に、『校長の研究室』と題して発表する次第である。

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