自然短音階の Sol → La は、全音(長2度)になっていて、旋律としては「終わった感じ」 に欠けています (終止感が不足しているとも言います)。
Do から始まる長音階の Si → Do のように、半音(短2度)で開始音(主音)に向かったほうが、終わった感じが強まります。自然短音階の開始音の手前の音を半音高めて、短2度にした音階を、和声短音階といいます。
結果として和声短音階の音の秩序は、次のように進行します。
【 全音 → 半音 → 全音 → 全音 → 半音 → 増2度 → 半音 】
しかし Sol を半音高めたために、Fa → Sol# の間が広がってしまいました。もともと全音(長2度)だった間隔は、増2度となりましたが、旋律としては歌いにくい音程です。
この増2度の音程を含むことが、和声短音階の大きな特徴になります。
楽譜では次のようになります。
このように、開始音(主音)へ短2度で進行する音のことを 導音(どうおん)と呼びます(上例では Sol#)。主音に導かれるという意味で、その名が付いています。なお、半音高められていない状態では導音と呼びません。