総合音楽講座 > 第4回 楽曲分析 ウラ・オモテ > P4

シンプル イズ ベスト?

2つの「歓喜の歌」をもう一度よく見てみましょう。

まるで小学生の教科書にでも出てきそうな楽譜です。

そうなのです。どちらも途中どこにも♯や♭が使われていないのです。実にシンプルではありませんか。

しかし、交響曲の重要な主題たるもの、本当にそれほどシンプルにできているだけなのでしょうか。

ベートーヴェンの旋律から a' の部分を抜き出して、和音の分析をしてみましょう。( a a' とほとんど同じでしたね)

[譜例3] をみてください。

[譜例3]

ベートーヴェン/交響曲第9番 ( a' )

第3回講座 で旋律を単純化したのを憶えていますか。

ここでも同様の考え方で和音分析をしていますが、これで充分なのです。

結果はどうでしょう。「これでいいのか?」と思うほどシンプルです。

使われている和音はⅠ(ド・ミ・ソ)とV(ソ・シ・レ)のたった2種類だけ。さぁ、ブラームスはどうでしょうか。