総合音楽講座 > 第4回 楽曲分析 ウラ・オモテ > P7

色彩のコーディネート

先日、とある喫茶店に入ったところ、店内は落ち着いたブラウンを基調としたとてもシックな感じなのでした。

そこにクッションが置かれているのですが、それがなんとブルーなのです。

最初は驚きましたが、それは鮮烈で魅力的なアクセントとなって、全体の雰囲気を一層高めているように思えました。

音楽の中でも似たようなことがあるのです。それはどういうことなのでしょうか。

先ほどの [譜例6] 3小節目の「?」の和音、そう、ソ♯が使われていたのですね。

これは実はイ短調(a moll)で使われるⅤ(ミ・ソ♯・シ)、つまりハ長調という基調となる色の中に、そこだけイ短調色がまぎれ込んでいるわけです。

まるで、ブラウンが基調の店内に置かれたブルーのクッションのように。

ここでは4小節目の「?」の和音は置いておき、ブラームスの を調べます。

[譜例7]をみてください。

[譜例7]

ブラームス/交響曲第1番 ( b )

1小節目にシ♭が出てきますが、ここではベートーヴェンと同じソ♯が出てくることに注目して下さい。

これはやはりイ短調のⅤです!これはもう、相当に「そっくりさん」と言えるのではないでしょうか?