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非和声音について

多くの場合、メロディは和音に基づいて作られます。メロディの中には和音を構成する音(和声音)と、和音に含まれない音(非和声音)があります。 多くの場合、非和声音は和声音に向かいます。

非和声音には、弱拍に現れるものと強拍に現れるものがあります。下の表に、主な非和声音をまとめています。
※( )内は、このページで使用する省略記号です。

主に弱拍に現れる

主に強拍に現れる

経過音(カ)

刺繍音(シ)

逸音 (ツ)

先取音(セ)

掛留音(ケ)

倚音 (イ)

ではこれから、各非和声音を具体的に見ていきましょう。

なお、これ以降使用する既存曲の譜例は、便宜上、速度標語などを省略しています。

弱拍に現れる非和声音

経過音

和声音から次の和声音に向かって順次進行※する非和声音です。

上記左の例は、刺繍音(シ)も使っています。
次に、具体的な楽曲での使用例を見てみましょう。赤い丸で示したものが非和声音です。

ツェルニー 30番練習曲集 第6曲

「順次進行」とは、隣の音(2度の音程)へ進行することを言います。対義語は「跳躍進行」で、3度以上離れた音程の音へ進行することです。

刺繍音(補助音)

和声音の上下を修飾する非和声音です。

次に、具体的な楽曲での使用例を見てみましょう。

ドヴォルザーク スラヴ舞曲 第2集 第2曲

この曲のメロディは、和声音の2度上の音と2度下の音を行き来しています。

逸音

和声音から順次進行で非和声音に行き、その後跳躍進行して次の和声音に進むものです。跳躍は、ほとんどが前の順次進行に対し反行します。

次に、具体的な楽曲での使用例を見てみましょう。

ヴェルディ 椿姫より「乾杯の歌」

先取音(先行音)

次に現れる和音の和声音を前の和音上の弱拍で先行して奏する非和声音です。

次に、具体的な楽曲の使用例を見てみましょう。

ベートーヴェン ピアノソナタ第20番第2楽章