前の和声音が次の和音の強拍まで残り、弱拍で2度上行もしくは下行して解決するものです。
次に説明する倚音と似ていますが、掛留音は予備されているものを指します。
次に、具体的な楽曲の使用例を見てみましょう。
バーバー 弦楽のためのアダージョ
4小節目は本来は「do-mi-sol」の和音ですが、掛留音 fa は mi に解決しないままになっています。特殊な例ですが、近代以降、見かけることがあります。
掛留音のように予備がなく、いきなり強拍に現れ、弱拍で2度上行もしくは下行して解決するものです。
次に、具体的な楽曲の使用例を見てみましょう。
モーツァルト ピアノソナタ第11番 第3楽章
倚音は、前打音と同じく、イタリア語で appoggiatura と示されます。 モーツァルトのこの曲は、本来、倚音の部分は前打音で書かれていました(詳細は前打音のページへ)。
他にも有名な曲では、ビートルズの《イエスタデイ》のメロディの始まりの音が倚音です。
ドイツ語で Orgelpunkt(オルゲルプンクト) と言います。 オルガンのペダルで奏される、長く延ばされたBassの音を指した名称です。他の声部の和音変化に関わらず、ずっと同じ音が持続します。
バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第1曲
これまで解説してきたように、非和声音は和音以外の音でありながら、音楽を音楽たらしめる大事な要素です。 もし音楽が和音の構成音だけでできていたとしたら、とても味気ないものになってしまうでしょう。 非和声音を制するものが音楽を制する、と言っても過言ではありません。
補足として、「総合音楽講座 第3回 メロディーの不思議」を読めば、さらに理解が高まります。 合わせてご利用ください。