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バロック中期 Page.3

ヴァイオリン・合奏音楽

ヴァイオリン音楽にはバロック期のソナタやコンチェルトの様式を確立したアルカンジェッロ・コレッリ Arcangelo Corelli(1653年~1713年)、バッハ以前のドイツのオルガン音楽やカンタータなどを作曲したヨハン・パッヘルベル Johann Pachelbel(1653年~1706年)やボヘミアからザルツブルクにやってきて同地の宮廷音楽家としてヴァイオリン音楽に優れた業績を残したビーバー Heinrich Ignaz Franz von Biber(1644年~1704年)らがいます。

とりわけコレッリの6つの作品集のうち二つのヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタには、緩急緩急の楽章からなる教会ソナタ(作品1と3)、アルマンド、サラバンド、ガヴォット、ジグなどの舞曲楽章を連ねた室内ソナタ(作品2と4)があり、前者はその後の教会ソナタの楽章構成の規範になりました。

また、コレッリの12曲からなる合奏協奏曲=コンチェルト・グロッソ作品6(作曲家の没後の1714年に出版)、小協奏部(コンチェルティーノ、2人のソリストと通奏低音)とトゥッティを担当する大協奏部(コンチェルト・グロッソ、弦楽と通奏低音)の編成からなります。こちらも教会ソナタや室内ソナタと同様の楽章構成をとり、第8番の終楽章が《クリスマス・コンチェルト》の名称で知られています。

♪コレッリ トリオ・ソナタ集作品1 1番 へ長調 1681年出版

▼ 各楽章の冒頭の楽譜(クリックで拡大)

緩徐楽章は和声的に進行し、急楽章は対位法的に掛け合いをします。

♪コンチェルト・グロッソ作品6の1 第2楽章(前半のみ)

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常に演奏している小さな音量の小協奏部に対して、ところどころ大協奏部が加わって音量が増し、ソリスト群(弱音)とトゥッティ(強音)との対比や掛け合いが生じます。

♪パッヘルベルのカノン(前半のみ)

▼ 自筆譜(クリックで拡大)

通奏低音と3本のヴァイオリンの曲です。通奏低音が同じ旋律を何度も繰り返す上で3本のヴァイオリンがカノンを繰り広げ、最後にジーグ楽章が続きます。