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教会旋法(きょうかいせんぽう)

明治初期、「旋律」という言葉が作られました。メロディー(律)が動き回る(旋)という意味から作られた言葉です。その旋律を形作る方法、秩序のことを「旋法」と呼ぶようになりました。そのため旋法という言葉は長音階や短音階などの音階、日本音楽の音階、ヨーロッパの伝統的な音階などを含んでいます。

17世紀頃、ヨーロッパでは長調や短調の音楽が確立していきましたが、それ以前の音楽にはとても長い歴史があります。

これから学習するのは、そのなかでもヨーロッパの教会音楽で用いられてきた旋法、いわゆる「教会旋法」です。16世紀の理論家によって旋法の名称が確立され、今日に至っています。今日、旋法という語は主に教会旋法のことを指しています。

長調や短調は長旋法、短旋法と言われることがあるように、もともと旋法から発展してきた歴史があります。その発展を勉強することは、ヨーロッパの伝統的な音楽を勉強する上でとても大切なことです。


中世の時代に教会で歌われた単旋律の歌 「グレゴリオ聖歌」 や同時代の音楽を構成している旋法を見てみると、全音階のうえに成り立っていることが分かります。簡単に言えば、ピアノの白鍵のみを使ってすべての旋法が表現できるということです。

まず、教会旋法で用いられる用語と、旋法の一例を示します。

開始音、終止音、フィナリス、主音

どれも同じ音を表しますが、長調、短調の音楽でいう「主音」のことです。

基本的にメロディーはこの音で始まり、この音で終わります。

正格旋法と変格旋法

初期のメロディーは、1オクターブ以内に収まるように作られていました。

終止音から1オクターブ上の終止音までの音域を用いるものを「正格旋法」といい、終止音の4度下から終止音の5度上までの音域を用いるものを「変格旋法」といいます。

ドミナント

長調、短調の音楽でいう「属音」のことです。終止音に次いで重要で、音楽に大きく影響を与えています。

正格旋法では終止音の5度上の音、変格旋法では3度上の音がドミナントになります。ただし、ドミナントが Si になる場合はそれを避け、2度上の Do か、2度下の La に変更されました。

長調、短調の音楽でもドミナントという言葉を良く用います。その場合は属音を示すというよりは、属和音やその機能を示している場合が多いようです。


以下に Fa を終止音とする旋法を示します。「D」はドミナント、「F」はフィナリスを意味します。

正格

 

 

F

D

F

変格

F

D

 

 

 

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