総合音楽講座 > 第3回 メロディーの不思議 > P8

和音の分析

さて、この曲はイ長調ですからラで始まる音階です。

和音を数字で表す事があるのですが、イ長調のラ-ド#-ミの和音をこの調はラで始まるのですからローマ数字のⅠと表したとすると1、2、5、6小節の和音はⅤ(アラビア数字の5)となります。

以下同じようにローマ数字を使って和音を表現すると次のようになります。

[譜例8]

?の付いた和音は説明が複雑なので省略しますが、いずれにしろ、イ長調の中の和音ではありません。

でも、ここだけ短調の感じがして素敵ですね。(もっと専門的に勉強するとなぜ短調に聞こえてくるのかが解り、更に理解が深まるでしょう。ここでは、仮に“?の和音”としておきます)

さて全体にどんな和音が使われているかを見てみましょう。

驚いた事にほとんどⅤとⅠが2小節交代で現れているだけです。こんな簡単な方法で和音付けされているだけなんて、ちょっと拍子抜けしませんか。しかし11小節からは様子が変わってきます。

11、12小節は、Ⅰと例のおしゃれな?の和音、13小節はこれまた初めて現れたⅡ、そして14小節がⅤ、15、16小節の最終和音はⅠとなっています。

安定・高揚を感じることができるのは・・・

結論として先ほどの究極のグラフ等からこの曲は前半と後半の8小節ずつから成り、最初の2小節の中心となる音はシ、前半で最も高いラを経て、ド#に落ち着く。後半の出だしの中心はやはりシ、後半で最も高いド#を経て、ラに落ち着くことが解ります。

すなわち、この曲は“緩やかな上昇をしつつ追い求めていく終着点(音)が存在するメロディー”なのです。しかも和音進行のほとんどは2小節交代のⅠとⅤで成り立っていて、規則的な流れを作り、聴き手に安堵感を提供します。

しかし、12小節から今まで使われていなかった和音が2つ現れ(?の和音とⅡの和音)、更に和音の種類が1小節交代になる事で高揚感を増進させています。