古典派の時期に<ソナタ>が発展しましたが、その作曲技法の中心となるのは、素材を発展(展開)させていく技法です。
素材の発展の方法として、<逆行> <転回> <拡大> <縮小> など、さまざまな方法があり、またそれらが組み合わされて用いられます。
ここでは、<逆行> <転回> <拡大> についてみていきましょう。
前述の素材Bをもとに、<逆行> と <拡大> の例を示します。
素材B
<逆行>
後ろの音から進行した形を <逆行形> と言います。
<転回>
上行を下行へと置き換えたものを<転回形>と言います (反行ということもあります)。
進行する度数を反映しますが、長短などの種類まで反映する場合と、しない場合があります。正確に長短を反映する場合、譜例中の(#)を付ける必要があります。
<拡大>
素材の音価(音の長さ)を2倍にすると、このように <拡大形> を得ることが出来ます(作品によっては、2倍とは限りません)。 反対に音価を半分にするなどすることを <縮小> と言います。
<拡大逆行>
逆行形を拡大した形です。この素材Bの場合、拡大転回形も似た形となります。
<POINT>
この素材Bを転回した場合、<逆行> と <転回> は結果が似ています。下記の素材Dではどのようになるか、考えてみましょう。