総合音楽講座 > 第5回 ブルグミュラーのアラベスク (分析編) > P6

作品の後半部分

中間部分で用いなかったことを意識し、念を押すかのように素材Cを2度も投入しているようにも感じますが、作曲者はそんなことを考えていなかったかもしれません。

なお、上記譜例の3段目以降は、終結部(コーダ)となります。

終結部では、素材A、素材Bを連続して投入し、また音域を上げていくことで緊張感を高め、最後のフォルテ、risoluto (決然と) へと進みます。

最後の2小節は手のポジションを大きく移動する必要があり、ピアノの初心者が一番苦労するところです。

まとめ

以上、素材をいかに活用して音楽を作っているかを紹介しました。

このような作曲技法を、<主題労作>と呼ぶこともあります。

これらは主に古典派の時代から発達し、以降19世紀の芸術音楽も支配している重要な技法です。

20世紀以降の音楽においても、展開という概念が芸術音楽の大きな柱となっており、それを学ぶことは重要です。

ブルグミュラーは <25の練習曲> を作曲してピアノを教えるに当たって、生徒にそれを伝えようとしたのではないでしょうか。

のちに学ぶであろう、ハイドンやベートーヴェンの準備段階として、素材の活用を肌で感じさせる必要性を感じていたのだと思います。

続いて、形式について簡単に触れておきます。