総合音楽講座 > 第12回 マーラーの交響曲を聴いてみよう! ~9のジンクスをめぐって > P6

交響曲第10番

交響曲第9番を完成させたのち、マーラーはまもなく第10番(実際は11番目)の作曲にとりかかります。

いよいよナンバーは、ベートーヴェン以後としては前人未到の二ケタに突入です。

しかし死神は、少し遅刻はしたものの、やはりやってきました。おそれていた「交響曲の第9番を完成後、作曲家は死す」というジンクスは本当に的中してしまうのです。

マーラーは第10番の第1楽章をどうにか完成させたものの、その先を書くことはできずに病のためこの世を去ります。

第10番は当初5楽章の交響曲として構想されたようですが、そのうち第1楽章しか完成できなかったわけですから、未完の第10番は1曲としてはカウントできず1/5曲としか数えられません。

ですので、これに第1番から第9番の9曲と『大地の歌』をあわせた数、すなわち「10+1/5」が、マーラーが生涯に書いた交響曲数となります。

ところで、マーラーは死にぎわにある有名な作曲家の名を2度言って息をひきとったそうです。臨終の言葉となったその作曲家の名とは何だと思いますか?ベートーヴェンだと思われるでしょう?

ところが「ベートーヴェン、ベートーヴェン…」とは言わず、こう言ったそうです。

「モーツァルト、モーツァルト…」

マーラーの死後数十年を経て、ロシアの作曲家、D.ショスタコーヴィチ(1906-1975)は「9のジンクス」を見事に打ち破り、生涯に15曲の交響曲を完成させました。

次は機会がありましたら、ぜひショスタコーヴィチの交響曲について、お話ししたいと思います。