曲の途中でテンポを変更する場合に用いる用語をまとめます。
その中で、più と meno という言葉がありますが、più は「より多く」、meno は「より少なく」というニュアンスのため、その後に付けられる言葉によって意味が変わります。
meno mosso, ritenuto (riten.)
訳:今までより遅く
più mosso, più animato, più tosto
訳:今までより速く
ritardando (rit.), rallentando (rall.)
訳:次第に遅くする
accelerando (accel.), stringendo (string.)
訳:次第に速くする
次第に遅くするものの中には、速度変化に伴い強弱も変化させるものもあります。
largando, allargando
例:次第に遅く、そして強く
(rit. + cresc.)
calando, morendo, smorzando, perdendosi
例:次第に遅くしながら弱く
(rit. + decresc.)
rit. など、比較的短い区間の速度変化を終了する場合、下記の用語が使用されます。
a tempo
訳: もとの速さで = 直前の速度変化 (rit. 等)の前のテンポに戻る
曲の途中で既出のテンポに戻る場合、下記の用語が使用されます。
Tempo I (テンポ・プリモ)
訳: 始めの速さで (曲の冒頭の速さ)
Tempo II (テンポ・セコンド)
訳: 2番目の速さで (曲の冒頭から数え、2番目の速度指示の速さ)
※ Tempo III、Tempo IV ・・・と使用できますが、どの速度か分かりづらいため、I 以外はあまり用いられません。
自由な演奏表現を求める場合、次のような楽語が使用されます。
ad libitum
訳:自由に
a piacere
訳:自由に
liberamente
訳:自由に
tempo rubato
訳:テンポを自由に加減して
この中で tempo rubato は注意が必要です。速くする部分と遅くする部分を織り交ぜることで、演奏時間が( in tempo と比べて)大幅に変化しないようにすることが求められます。
続いて、自由な速さから正確な速さに戻す場合は、次のような楽語が使用されます。
tempo giusto
訳:正確な速さで
in tempo
訳:正確な速さで
a battuta
訳:拍子通りの演奏に戻す
più の u の上に付いている記号はアクセント記号といいます。イタリア語やフランス語など、ヨーロッパの言語ではしばしば用いられており、母音の発音を変える働きをします。付け忘れると別の意味の言葉になる場合があるので注意しましょう。