主要音と2度上の音(装飾音)を適当な回数素早く反復します。
主要音から始めるか2度上の音から始めるかは、時代によって差があったり、記号によって限定されていたりします。
↓ 奏法例
上例:D.スカルラッティ《ソナタ ホ長調 Kk.380》
上の例は、通常のトリル記号「tr」が書かれていますが、時代考証から、上から始めると判断されるトリルです。
バロックや初期古典派のトリルに多いパターンで、状況によって見極める必要があります。
↓ 奏法例
上例:ベートーヴェン《ピアノソナタ第21番「ヴァルトシュタイン」》
↓ 奏法例
上例:バッハ《ゴルトベルク変奏曲》
こちらの譜例では、上から始めるよう楽譜上でわざわざ指定しています。一番目の例(ベートーヴェン)のように装飾音で書いたり、二番目の例(バッハ)のような特殊な記号を用います。
古典派以降はこちらの方が一般的です。
↓ 奏法例
上例:ガーシュイン《ラプソディ・イン・ブルー》
トリルの奏法は、回数やその速さは自由です。
↓ 奏法例
上図のように、記号の上に臨時記号がつくことがあります。その場合、装飾音にその臨時記号をつけて演奏しましょう。
記号の組み合わせにより、特殊な装飾記号を使うことができます。
↓ 奏法例
上記の例は、後述する「ターン」の音形と「トリル」を組み合わせたものです。以下に実用例を示します。
↓ 奏法例
上例:バッハ《ゴルトベルク変奏曲》
《ゴルトベルク変奏曲》の第3小節目ですが、1拍目は「モルデント」、2拍目が特殊なトリルです。
そのほかにもいろいろな特殊なトリルがあります。以下に列挙します。
↓ 奏法例
「ターン」+「トリル」
↓ 奏法例
「逆ターン」+「トリル」
↓ 奏法例
「ターン」 +「トリル」+「モルデント」
↓ 奏法例
「逆ターン」+「トリル」+「モルデント」