調判定とは、楽曲のあるフレーズが何調であるかを判定することです。音楽大学の入学試験などでそのような設問をしばしば見かけます。
調判定には、大きく2つの分類があり、1つは旋律の調判定、もう一つは和声による調判定です。いずれにしても調を判定するには、読譜力や和声感が要求され、総合的な力が必要です。
和音のコーナーで説明したように、属七の和音は音階の固有和音上に1つしか出現しないということで、調を判定する決め手になります。この属七の和音がどのように進行するかを調べることで調を判定するのが、もっともよく行われる手法です。
次の例は属七の和音が主和音に進行している例です。属七の和音の構成音から、Do が主音であることがわかります。後続する主和音が長三和音なので、ハ長調と考えられます。
C: |
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旋律に用いられている音から調号を想像し、そして旋律の特徴(順次進行、跳躍進行、増1度進行など※)を見て、考えられうる調を導き出す手法です。
※ 順次進行(じゅんじしんこう)とは、となりの音(2度上か下)に進むことを言います。 それより広い音程で進むことを跳躍進行(ちょうやくしんこう)といいます。 また、Sol → Sol # のように進行することを、増1度進行(ぞういちどしんこう)と言います。
この手法は、旋律から和音の背景を想像する力、旋律の各音が和音の音(和声音)なのか、そうでないのか(非和声音)を判断する力など、幅広い力が要求されます。しかし、ある程度は理論に即した判断方法も考えられています。
例えば、次のような判断方法があります。
・ メロディーが跳躍進行した場合、その飛ぶ前の音と、飛んだ後の音は和声音である。
この理論によると、下の例の冒頭の Si と Mi が和声音と考えられます。
また、メロディーに用いられている音から #が4つの調と推理できます。もし #が4つの短調ならば、 導音のために Si が半音高められることがあるだろうと推察できるため、長調と考えられます。
以上の結果から、ホ長調と答えることができます。
(譜例は、ショパン 練習曲 op.10-3「%△&□$」)
多くの作品の傾向を分析すると、いろいろな判定方法が考えられるのですが、今日の多様化した音楽の中では例外も多く、このような理論の丸暗記のみで旋律の調を判定するのは難しいようです。
なお、メロディーから和音を想像する力は普段の音楽学習の中で自然と身に付くものですし、和音の勉強(和声学)を通してより深まっていくことでしょう。
以降のページでは、和声による調判定の方法を説明します。