属七の和音は必ず主和音に進むとは限りません。その例外の中でも代表的な進行の例を挙げます。
Ⅴの和音は、主和音以外にⅥの和音に進むことがよくあります。
1つ目の例は、ハ長調でⅥの和音に進行した例です。後続和音が主和音と考えて「イ短調」とすると間違いです。
2つ目と4つ目の例は、経過的に属七の和音が現れている例です。
3つ目の例は、イ短調でⅥの和音に進行した例です。後続和音が主和音と考えて「ヘ長調」とすると間違いです。
このように、Ⅵの和音に進行するときは基本形の属七の和音である場合がほとんどです。
各例ともに、最初の和音は 「ト長調の属七の和音」 です。
1つ目の例は、後続する和音も属七の和音です。例のように導音が半音下がって後続和音の第7音になる場合が多いのですが、この場合、後続する属七の和音こそが調を判断すべき属七の和音である場合が多いです。
後続和音は「ハ長調」もしくは「ハ短調」の属七の和音ですから、その次の和音を見て調を判断します。
2つ目の例は、後続の属七の和音が経過的に現れている例です。
3つ目と4つ目の例は、後続和音が三和音の第2転回形の場合です。この場合、その後続する三和音が主和音の可能性がほとんどです。例では、Do - Mi - Sol の長三和音なので、ハ長調です。
いろいろな可能性を考えれば考えるほど調の判定は難しいものと分かります。ただし音楽大学の入試などではこのように難しい判断が要求される設問が出題されることは少なく、主和音への進行を含んでいるものが大半を占めています。
さらに深く研究するには、和声学の学習が効果的でしょう。