弦楽器は音の強弱の変化をつけやすく、P(ピアノ)や PP(ピアニッシモ)の弱い音でも美しく響きます。
f(フォルテ)や ff(フォルティッシモ)で長いフレーズを弾き続けることも管楽器に比べてやさしいです。
管楽器はf や ff で長い時間吹いていると頭がくらくらし、口もばてますが、 弦楽器にはそういった問題はおこりません。
しかも、聴いている人の耳には P でも f でも心地よく響き、疲れずに安心して聴いていられる音なのです。
いろいろな奏法があり、音色もバラエティーに富んでいるので、作曲家も演奏家も、微妙なニュアンスを表現することができます。
穏やかで静かな音楽でも、速くて激しい音楽でもすぐに対応ができる“幅の広い表現力”が弦楽器にはあります。
作曲家が弦楽器を頼る理由はこんなところにあるのです。
らんぼうな言い方ですが「数字の8をおしゃれにかたどった木の箱に弦を4本張り、白い馬のしっぽの毛を張った棒(弓といいます)でこすって音を出す楽器」が弦楽器です。
おしゃれな木の箱は、表、裏、側面のすべてのパーツを一つひとつ作って組み立てられたもので、一本の木からくり抜いたものではありません。
中は空間状態。期待しても“魂柱(こんちゅう)”という柱と、表板に貼られたバスバーという木がみえるだけで、何も入っていません。
弦楽器のつくりはかなり手がこんでいて、たとえば表の板と裏の板では木の種類が違います。
その他の部分にも別の木材が使われていて、さながら“木のショー・ルーム”といえます。