オーケストラの木管セクションは1パートに1人です。舞台にフルート奏者が2人、3人いたとしても、1stフルート、2ndフルート、ピッコロと割り振ります。
演奏者の人数も少ないし、曲は弦楽器が主体となって進んでいく・・・
木管楽器の音が一番よく聴こえてくるのは、全体の音量が弱い部分でのソロをとるときで、音量がフォルテのような箇所ではあまり音は聴こえてきません。
けれど暇にしているわけではなく、いろいろと活躍しています。目立っていないだけで、弦楽パートの音に輝きを足したり、輪郭をとったり、という役割をしています。
反対に、静かな部分の背景をつくる場合にもよく使われています。
この場合も気づきにくいのですが、楽器や音域によってとても弱く、柔らかな音が出るのでそれを利用します。木管楽器の大切な役割のひとつです。
息つぎをする必要があるため、休符の部分は多いです。長い休みもありますが、メロディーに短い休符が組み込まれています。
主旋律を担当する場合も、一つの楽器が長い間ずっと吹くことはなく、いろいろな楽器に受け渡していく方法がとられます。
これは聴こえる旋律の音色が移り変っていくので、音が遠くから聴こえたり近づいたりといった印象を受けたり、音の明暗を感じたり、という効果もあります。
旋律、和音、低音、リズム、これらの役割に何の楽器を使うか、楽器の組み合わせをどうするか(オーケストレーションという)は作曲家の個性が表れるところです。管楽器に重要な役がまわってくることがあまりない時代もありました。
時代とともに楽器の性能や演奏者のテクニックが上がり、いろいろな奏法も生まれ、管楽器の役割は変化しました。
作曲家たちはオーケストラに繊細な表現と多彩な響きを求め、楽器の組み合わせ方に趣向を凝らしていきました。
いくつもの旋律を重ねたり、微妙な響きの和音を連ねたり、といった複雑で緻密な構造の曲をつくるためには、いろいろな音色と響きが必要だったのです。
現代の作曲家も、この“響きの探求”をしています。