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トランペットの音階構造

さて、金管の皆さん、大変お待たせしました。金管楽器の音階構造についてお話します。

トランペットは通常3つのピストンを持っており、手前から1番ピストン・2番ピストン・3番ピストンと呼びます。

そして、それぞれのピストンに、手前から全音(長2度)分長くなる・半音(短2度)分長くなる・全音半(短3度)分長くなる迂回管が取り付けられています。

あくまでも理論上で、第2倍音・第4倍音・第8倍音において、ピストンを単独で使う場合には、平均律と同じ管の長さを設定できますが、2つのピストンを同時に押す場合、もしくは3つのピストンを同時に押す場合は、十分な長さを得ることができません。

なぜなら、トランペットの楽器の構造は、足し算はできても、かけ算はできないからです。その理由は PAGE 5 で述べます。

平均律の場合の波長比と並べて、その違いを確認してください。

音名がややこしくなるので、C管のトランペットとして計算しました。

楽器メーカーによっては、必ずしも『手前から全音(長2度)分長くなる・半音(短2度)分長くなる・全音半(短3度)分長くなる』としていないメーカーもあります。

23の運指でぴったり平均律の長3度下がるように、3番の迂回管を少し長く設定しているメーカーもあるようです。

等差数列と等比数列

音の高さを表す単位に「セント」があります。

半音を100セントとし、1オクターブは1200セントとなります。

この方法はわかり易いと言えばわかり易い、便利と言えば便利なのですが、全ての半音が同じ振動数の隔たりを持っているような錯覚に陥ります。

つまり、平均律の場合の半音は、等比数列で並んでいるのであって、等差数列ではないということです。