総合音楽講座 > 第8回 ピタゴラスと平均律とトランペット > P5

倍音構造

トランペットは、ボタンを押すところが3つしかないのに、どうやっていくつもの音を吹いているのだろう?と疑問を持ったことがある方はいらっしゃいませんか?

PAGE 4 のように3つのボタンを組み合わせるだけでは、7種類の音しか出せません。

では、どうやって、音階を吹いているのかと言いますと、倍音という物理現象を利用しています。

音波とは何か?と言い出すと、このページでは収まりきれないので、ここでは、トランペット管体での音の伝わり方についてのみ言及します。

音速は気温に依っても変化しますし、湿度によっても変化するので、ここでは考慮に入れないこととします。

では、倍音とは何か?というと、金管楽器の場合、管の端から端までで1つの波が構成される音(基音)だけでなく、2つの波、3つの波というように、整数倍の波が共鳴する仕組みになっています。

それを楽譜上で表すと次のようになります。

そしてそれらは7つの運指にそれぞれ対応しています。

C:完全1度

ピストンを使用しない

H:短2度下げる

2番ピストン:12√2=1.0594631

平均率:12√2=1.059463

B:長2度下げる

1番ピストン:12√2の2乗=1.122461848

平均率:12√2の2乗=1.122461848

A:短3度下げる

1・2番ピストン使用の場合:1+(12√2)2乗ー1=1.181924948

3番ピストン使用の場合:12√2の3乗(平均率と同じ)=1.189207133

As:長3度下げる

2・3番ピストン使用:1+12√2ー1+(12√2)3乗−1=1.248670233

平均率:(12√2)4乗=1.25992060

G:完全4度下げる

1・3番ピストン使用:1+(12√2)2乗ー1+(12√2)3乗ー1=1.311668981

ピストンを使用しない:1.333333......=4/3

平均率:(12√2)5乗=1.33483926

Fis:増4度下げる

1・2・3番ピストン使用:1+(12√2)2乗−1+√2−1+(12√2)3乗ー1=1.371

2番ピストン:12√2=1.059463×4/3=1.412617333

平均率=(12√2)6乗=1.41421356