ロンド形式の構造とモーツァルトのピアノソナタK.545の分析が学べます。
照屋正樹
音は見たり触ったりすることが出来ません。
空間に散ってしまうものなので、音の「横の連なり」や異なる音が「縦に一緒に鳴る」ことに対して一定の決まり事を定め、いくつかの塊を感じる工夫をしないと、音楽としてのまとまりを感じません。
短い曲ならともかく、長くなってくると楽曲全体を支える構造が必要になってきます。
それを解決する一つの方法が「形式」です。
形式には多くの種類がありますが、今回は、「ロンド形式」について述べましょう。
「ロンド」とは元来フランス語で繰り返し句のある定型詩 (rondeau) を指します。
辞書(※)には 「13行から成り、8行と13行の後で最初の詩句を繰り返す」 とあります。
そのロンドが音楽の形式になり、繰り返し句による循環する部分とそれに対する部分から成る音楽になりました。
なお、現在のフランス語でも rond は丸を意味します。
丸く輪になって踊る、循環部のある輪のような形式、何れにしてもロンドは丸に関係があるのです。
※ 参考文献:ロワイヤル仏和中辞典(旺文社)
それではロンド形式を図式化してみましょう。
A - B - A - C - A - D - … - A
つまり、循環する部分 A と、B、 C、 D 等の対照部分が交替する形式です。