音名のなかでもイタリア語のドレミは、目的によって違う使い方をすることがあります。
ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
譜例2 はミスプリントではありません。同じ音なのに違った呼び方をすることがあるのです。
これは<移動ド> と呼ばれるドレミの使い方です。その調(キー)の主音から順番にドレミと考えます。
この使い方をする場合、ドの音はひとつではなくキーによっていろいろなドがあることになります。譜例2はハ長調とホ長調のドレミです。
一方、<固定ド>と呼ばれるドレミの使い方では、ドはハ長調の最初の音(英語やドイツ語のC)のことでそれはどのキーでもかわりません。
移動ドと固定ドは目的によって使いわけらえます。
では、なぜこのような混乱するような呼び方があるのでしょう?
固定ドで音を考える時はひとつの音は常に同じに名前です。人の名前と同じです。これはその音を覚えるのに役立ちます。
ドという名前とその音の高さや雰囲気を結びつけて憶えられます。例えば、曲のキーを選ぶ時などは固定ドで感じます。
ひとつの曲をA♭で演奏するのとGで演奏するのはアドリブの感じも全然違います。
ブルースを例にとれば、セロニアスモンクの「ブルーモンク」というB♭キーのブルースと、マイルスデイビスの「オールブルース」というGのキーのブルースをを聞いてみてください。
キーによっていかに雰囲気が違うかがわかります。
このような違いがわかるようになるためにはそれぞれの音の個性を感じる必要があります。これには固定ドが非常に役立ちます。
一方、移動ドでは、主音をド(※)と読みます。
どの調でも最初の音はドから始まり、レ、ミ、ファ、と上がって行くので、この読み方をすると、たとえ曲の中で調性が変わっても常に主音がどこにあるかを感じることができます。
※ 移動ドには、短調 (minor scale) の主音をラとする場合もあります。