箏
日本の楽器の中でも最も親しまれている存在。なお、略字として「筝」や同じく「こと」と読む「琴」の字も箏に対して使われることがある。
中国から伝来したもので、13弦が標準。これとは別に7弦の琴(キン)や6弦の和琴(やまとごと/ワゴン)がある。
一般に13本の弦は同じ太さのものを使用し、箏柱(ことじ)と呼ばれる可動式のブリッジを立てて曲ごとに調弦し、右手の三本の指に爪をはめて演奏する。 雅楽の中では管絃の一部として合奏用に用いていたが、その後、寺院歌謡の伴奏などを経て、江戸時代に盛んに独奏が行われるようになった。
近世の箏曲の創始者として八橋検校が有名で、生田流、山田流などの流派が存在する。 三味線や尺八(かつては胡弓も)との合奏も盛んに行われている。 明治以降次々と新曲も生まれ、大正時代以降は、低音用の十七絃や、音域を拡げた二十絃、二十五絃、三十絃などの箏も考案されている。
Music Library
- 千鳥の曲
- 吉沢検校 (1801 or 1808 ~ 1872)
- 1855年頃
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- 調弦は古今調子。 幕末の作品であるが、明治にかけて全国的に広まり、現在まで愛好されている。 前弾、前歌、手事、後歌の構成。 一般には尺八との合奏でも演奏されるが、胡弓との合奏が原曲。
- 水の変態
- 宮城道雄 (1894~1956)
- 1909年
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- 作曲者14歳のデビュー作。古典的手法ながら、情景描写などに独自性がある。 歌詞は国語の教科書にあった和歌7首で、雨や雪など様々な水の変化を歌ったもの。 作曲者は邦楽の近代化の先駆者で、数多くの作曲や楽器の改良にも貢献。
- 讃歌
- 沢井忠夫 (1937~1997)
- 1978年
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- 自然、人間、芸術への讃歌をテーマにしたもの。作曲者は箏の演奏家、作曲家として活躍。 現代的手法を駆使した多くの作品を残すとともに、後進の育成にも務めた。
- 凍る ~箏のために~
- 池辺晋一郎 (1943年~)
- 1977年
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- 曲はⅠとⅡから成り、それらは互いに対応して一対である。それぞれ、古典雲井調子が、短い押し放しの余韻に関して、逆の関わり方をする。一方は余韻が雲井調子からそれてゆこうとし、他方は余韻が雲井調子になる。 「凍る」というタイトルは、曲の表情とは全く関係ない。作曲者の内部である種の「感性の凍結」状態がつくられ、その状態で書かれた作品であることをタイトルに示したにすぎない。(楽譜解説より)
演奏とお話 吉原 佐知子
※ 各エピソードで五線譜が用いられている場合、絶対音の表記で統一しています。