三味線
中国の三弦が沖縄経由で日本に渡ったもので、三絃とも呼ばれる。 その名の通り3弦で、中国や沖縄では蛇皮が張られていたが、日本本土では猫や犬の皮が用いられている。 日本で使われたのは近世になってからであるが、歌舞伎や人形芝居などの劇場音楽から、座敷での歌の伴奏、各地の民謡など幅広く愛好されている。
ジャンルによって細棹から太棹までさまざまな規格のものがあり、バチや駒の形も多様である。 弦を弾く際にはバチを皮を打ち付けるようにし、弦が棹の表面に軽く接触して、サワリというびりついたような余韻が生まれるのも特徴である。 調弦法も多様で、下から完全四度と完全五度を組み合わせた「本調子」を基本に、二の糸を一音上げた「二上り」、三の糸を一音下げた「三下り」などがある。
なお、基準音は歌い手や他の楽器に合わせて自由に設定できるが、h (シ) からd (レ) の間から選ばれるのが普通であり、五線譜では実音にかかわらず、hを基音にすることも多い。
Music Library
- 盤渉調
- 中能島欣一 (1904~1984)
- 1941年
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- 盤渉(ばんしき)は雅楽音名で、ドイツ音名の H にあたる。作曲者は山田流箏曲の演奏家、作曲家。三味線の名人としても知られた。
- さらし
- 北沢勾当、 深草検校
- 成立年不詳
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- 北沢勾当(1600年代後半)の原曲を深草検校(1700年代前半)が発展させた曲。京都宇治川で布をさらす作業を表現したもの。合の手(間奏)が有名で、長唄「越後獅子」などにも借用されている。
- 松風
- 初代中能島検校(1838~1894)、
三代山木検校(1835/37-1871/73)
- 成立年不詳
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- 初代中能島検校により三味線パート作曲。 箏パートの作曲は三代山木検校。合の手(間奏)に砧(きぬた)の手と呼ばれる特徴的な音型が使われている。 なお、中能島欣一は作曲者の孫にあたる。
- The Road
- 佐藤容子
- 2007年
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- しばしば現れる 6/8, 3/4, 9/16 といったリズム・モチーフが The Road すなわち時間の流れ、戻るべき確かな道を表し、思い通りには行かなくとも、人生に立ち向かうエネルギッシュで前向きな歩みを三味線ソロの中に表現している。野澤徹也により委嘱、初演。
演奏とお話 木村 陽子、野澤 徹也
※ 各エピソードで五線譜が用いられている場合、絶対音の表記で統一しています。