日本の芸能に太鼓は欠かせない。雅楽、能楽、歌舞伎などの古典芸能から郷土芸能に至るまで、太鼓の無い種目は無いとさえ言える。形態もいろいろであるが、構造上は両面の革をひもで締めるものと、胴に革を鋲(びょう)で留めてあるものに分かれる。能楽の「締太鼓」は前者、寺社や盆踊りなどで使われる「大太鼓」は後者のタイプである。大太鼓の多くは胴の奥行きが直径より長いことから「長胴太鼓」とも呼ばれるが、胴の薄い「平太鼓」もある。一般に太鼓の胴は木をくり抜いて作られるが、板状のものを組み合わせて胴体にしたものは「桶胴太鼓」と呼ばれる。珍しいものとしては胴が無く、枠に革を張って持ち手を付けた「団扇(うちわ)太鼓」もある。なお、「和太鼓」という呼び名は洋楽などの太鼓と区別するために生まれた言い方で、さまざまな太鼓によるアンサンブルも比較的近年になって盛んになったものである。
伊豆諸島の一つ「三宅島」に伝わる太鼓で、和太鼓グループ「鼓童」が舞台で演目としたことにより世に知られるようになったもの。 腰を落とした低い姿勢から、地面に近い位置に置かれた太鼓に向かい、身体ごと打ち込むのが特徴。そのルーツは三宅島で行われる「牛頭天王祭(ごずてんのうさい)」でお神輿を先導する為に叩かれる太鼓です。
一陽来復とは冬から春になって太陽が生命力を取り戻し、「陽」の気が満ちることを指し、この曲はそうした生命の息吹を表現している。大太鼓がもつ音色の迫力とリズム、それと左右のバチの使い方の妙味を楽しめるものとなっている。
両面二人打ちの曲で、一方が地打ち(基本型のリズム)を打ち、一方がソロ的打ち方をする。最初は儀式的要素を含み、前半は弾まないリズムで、後半は弾んだリズムで進行し、最終的に一緒になって終わる。
大太鼓独奏。
大太鼓の演奏は元々即興的要素が強い楽器で、特に独奏ではその傾向が強く、この曲も即興的に演奏している。「一陽来復:大太鼓編」でも使われた太鼓に対する身体の構え方、バチの使い方の違い等、演奏者によって打ち易いスタンスがある。
演奏とお話 西川 啓光、 千代園 剛、牧野 香苗
※ 各エピソードで五線譜が用いられている場合、絶対音の表記で統一しています。