作曲者はオーケストラ、吹奏楽、舞台音楽などで活躍。この曲はハーモニーを主体とする西洋音楽に対して、個々の楽器の共存を図る日本の伝統的な合奏を意識し、両者の共存と融合を意図したもの。
同じ作曲家による"悠久の書"~琵琶と弦楽の為に(2008)をヴァイオリンと琵琶の為に再構成した作品。弦楽器(ストリングス)のコントラストを意味する「コントラストリングス」シリーズの第2作目として発表。
この作品は、琵琶と弦楽オーケストラの為の協奏曲<悠久の書>を作曲・初演した直後に、その余勢をかってヴァイオリンと琵琶の二重奏作品として、再構成・作曲したものです。
近年すっかり琵琶に魅せられている私は、同一調弦を有する楽器の特性や、撥と絃の織りなす微妙な効果、ピチカート奏法等の左手の奏法等を突き詰めて、時には新記譜法も考案しつつ、近年立て続けに琵琶作品を手掛けています。
この作品に於いての演奏家と聴き手の皆さんには、伝統奏法が現代的にも感じられる独特の琵琶の音魂と、伸びやかなヴァ イオリンの音色という、和洋2種の弦楽器(ストリングス)の、詩的な会話と対照(コントラスト)を、お楽しみいただければ幸いです。(作曲者)
篠笛、能管と小鼓による演奏。
この曲はまったくの即興で、お互いに音を聞きながら音による会話をしている。前半の笛は篠笛(竹笛)を使用し、ある時は情緒的にある時は現代的な手法で表現し、それに答える様に鼓が反応する。後半、笛は能管に持ち替えて鼓と共に舞地(舞踊のための定型的なパターン)を演奏して終わる。
四つの部分が切れ目無く演奏される。百花繚乱の春は変拍子を含むふたつのパートのせめぎあいによるめくるめく色彩感。続く夏は、蒸し暑い夕暮れにけだるい芳香を漂わせる泰山木の白い花。秋は日本人の心の琴線を震わす虫の声や紅葉の錦。最後の冬は深紅の寒椿に降り積もる羽毛のような雪。(作曲者のコメントを要約)