シューマンは、メンデルスゾーンと同世代のロマン派前期の作曲家です。ブラームスの才能を見出したり、シューベルトの[ 交響曲第7番「未完成」]の初演に尽力したり、評論活動を展開したり、ヨーロッパ音楽界に大きな功績を残した人物でもあります。この頃のヨーロッパでは、イギリスに続いて、ドイツとフランスが産業革命を成し遂げて行きます。また、新大陸の新興国であったアメリカもそれに続きます。ロシアも不気味な動向を見せています。
一方で、アジアやアフリカや南米大陸の国々の大半は、欧州主要国やアメリカの植民地になるなど支配下に置かれてしまいます。日本にも、そういった世界史の大波が容赦なく迫って来るのでした。
さて、シューマンの[交響曲第2番ハ長調 作品61]を聴いてみましょう。
作曲年代:1845〜46年
楽器編成:
フルート2,オーボエ2、クラリネット2,ファゴット2,
ホルン2,トランペット2,トロンボーン3,ティンパニ、
弦5部(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)
演奏時間:(楽譜通りの繰り返しを遂行した演奏の場合)
Ⅰ楽章=約12,5分 Ⅱ楽章=約7分 Ⅲ楽章=約10,5分 Ⅳ楽章=約8,5分
計=約40分
【譜例11】YouTubeで視聴
この作品はシューマンの交響曲の中では最も肯定的な力感に溢れています。【譜例11】の部分を含む特に終楽章の後半の推進力は魅力的です。ホルンはまだ4本ではなく2本ですが、トロンボーンが使用されています。今日的な二管編成が定着していく時期であることが伺われます。
しかしながら、ロマン派前期の作曲家の交響曲は、あまりに偉大なベートーヴェンの9曲に比べるとやや小粒の観は否めないかもしれません。(フランスのベルリオーズという奇跡的な天才が居ますが、別の機会に触れましょう。)その傾向は、続くロマン派中期に払拭されていきます。交響曲作曲家(シンフォニストとも呼びます)が群雄割拠する時代になっていきます。