シューベルトからドヴォルザークまでの交響曲を題材にしながら、ロマン派の前期から中期までの探訪を試みました。古典派の後期の偉大なベートーヴェンは、第3番や第9番のように50分〜1時間超級の交響曲を書いてしまいましたが、その他の番号を見るならば概ね30分〜40分の規模が標準となっています。ロマン派前期の作曲家、メンデルスゾーンやシューマン等の交響曲も、同じく30〜40分規模ですが、中期の作曲家、ブラームス、チャイコフスキー、ドヴォルザークの交響曲になると、40〜50分規模に拡大しています。また、楽器編成もホルンが4本使用とトロンボーン導入が標準化され、最終的にはテューバも導入されました。打楽器も、ティンパニのみの使用から他の打楽器の使用が増えていきました。当然、弦楽器の人数も管楽器とのバランスを勘案して増えていきました。この時代は、クラシック音楽の拡大期と捉えられるのです。
<第10回「音楽は社会とともに変遷する!」その1>から通して、バッハの時代からの演奏時間と楽器編成の拡大を振り返ると、その拡大傾向は更に鮮明にわかるでしょう。つまり、フランス革命と産業革命によってヨーロッパの社会が大きく変化して経済が大きく発展していった時期に、芸術も同様に拡大したということになります。この拡大傾向は、19世紀末から20世紀初頭にかけての“後期ロマン派”の時代で更に顕著になっていき、肥大化の極致といった様相を呈することになります。
シリーズの第3弾〜後期ロマン派の時代〜をお楽しみに!