2つの「歓喜の歌」をもう一度よく見てみましょう。
まるで小学生の教科書にでも出てきそうな楽譜です。
そうなのです。どちらも途中どこにも♯や♭が使われていないのです。実にシンプルではありませんか。
しかし、交響曲の重要な主題たるもの、本当にそれほどシンプルにできているだけなのでしょうか。
ベートーヴェンの旋律から a' の部分を抜き出して、和音の分析をしてみましょう。( a は a' とほとんど同じでしたね)
[譜例3] をみてください。
[譜例3]
ベートーヴェン/交響曲第9番 ( a' )
第3回講座 で旋律を単純化したのを憶えていますか。
ここでも同様の考え方で和音分析をしていますが、これで充分なのです。
結果はどうでしょう。「これでいいのか?」と思うほどシンプルです。
使われている和音はⅠ(ド・ミ・ソ)とV(ソ・シ・レ)のたった2種類だけ。さぁ、ブラームスはどうでしょうか。