総合音楽講座 > 第7回 バッハ インベンション第2番 > P4

もう一度カノンに話を戻します。

13小節目の上声部をみてください。お気づきのように先ほどの g moll の旋律です。

ということは、11小節目から下声部にこの g moll の旋律が現れ、2小節遅れて上声部が8度上で追いかけていく、というカノンを作っています。

今回は下声部が先行句、上声部が追行句です。

楽譜を切り替える

前回とは上声部と下声部の関係が逆になっています。この上声と下声を入れかえることを転回(てんかい)といいます。

楽典の勉強で「次の音程を転回し、転回音程を答えなさい」といった練習がありますよね。

その転回です。

ここでもまた「最初のカノンを g moll にして、ただ上下ひっくり返しただけでしょう?」と思われてしまうかもしれません。

けれども、ただ上下をひっくり返すだけではきれいには響きません。カノンと同じように、作曲の最初の段階から転回することを考えて旋律を作っています。

バッハが意識的に上声と下声を入れかえられるように作った、ということを理解して弾いてください。