総合音楽講座 > 第7回 バッハ インベンション第2番 > P6

それぞれの段落の終わり方を見てみます。

第1部

11~12小節の上声を見てください。この部分は自由唱といい、追行句や他の所には出てきません。

第1部を歌い終えるためのものです。たたみかけるようにして音が上がっていく旋律線を描きながら、g moll で終わっています。

カノンでは、追行句が “遅れて” 始まるので、厳格にカノンをしていけば、終わりもずれるわけです。

この曲の場合、追行句は最後の2小節分は追いかけをしないで、 次のフレーズを開始したり、あるいは段落の終わりに向かう自由唱になったりしています。

(9~10小節の上声の部分は追行句には現れていませんが、転回されて下声部が先行句になった19~20小節には B dur で現れています)

第2部

22小節4拍目から23小節1拍目にかけて、c moll の全終止があります。

カノンとしての追いかけは20小節目で終わり、21小節~22小節は、B dur から c moll への転調を行いながら終止へと向かう自由唱の部分です。

①を上声部で模倣しています。この①は20小節目の上声部に現れた音型、つまりカノンを行う旋律の一番最後の音型です。

模倣とは文字通り “真似すること” で、ある音型が提示されると、それを別のパートでくり返すことです。

ある人が何か言葉を発すると、別の人がそれを返すイメージでしょう。カノンも同じことなのですが、長い文章を厳格に忠実に追いかけていくイメージです。